会長挨拶

 本研究会は1980年に、本会発起人のお一人である伊藤一二先生(東京都立駒込病院)が代表世話人となり、動注癌化学療法研究会として第1回が開催されて以降、45年あまり続いている大変歴史のある研究会です。発足時の目的は、「動脈内注入化学療法による癌治療全般についての基礎的,臨床的研究を検討する共通の場を提供すること」であり、1990年(平成2年)まで、12回の研究会が開催されています。その間、第3回までは伊藤一二先生が代表世話人を務められ、第4回からは会長制に移行し、第9回まで梶谷鐶先生(癌研究会)が,第18回まで田口鐵男先生(大阪大学)が会長を務められています。1991年の第13回からは名称を癌局所療法研究会に、1998年の第20回からは日本癌局所療法研究会と名称が変更されました。そして、第19回から第26回までは佐治重豊先生(岐阜大学)が会長を務められ、その後、第29回までを落合武徳先生(千葉大学)、第35回までを小川健治先生(東京女子医科大学)、第41回までを平川弘聖先生(大阪市立大学)、第47回までを大辻英吾先生(京都府立医科大学)に会長として本研究会を牽引していただきました。そして、今回私が会長を引き継がせていただいております。
 本研究会は「癌の局所療法に関する研究を行い,癌の治療に貢献すること」を目的に、全国各地から癌治療にたずさわる先生方が集い、診療科や年齢・経験の垣根を越えて議論できるユニークな研究会であります。特に若い先生方が多く参加されますので、自身の発表や経験豊富な医師・研究者との議論を通して癌局所治療についての学びの場としていただきたいと考えています。また、大辻前会長のリーダーシップの下、最新の癌局所療法をインプットできるような最新医学セミナーも企画されています。さらには、発表を発信する、記録に残す、すなわち論文化することも奨励しております。
 癌局所療法には、究極の癌局所療法である外科治療をはじめとして、免疫療法、焼灼療法、動注療法など多くの治療法が含まれるとともに、新たな治療法が次々に開発されています。全身療法といわれる薬物療法でさえ結局は局所でいかに効果を発揮するか、ということが重要なポイントとなります。そして、集学的治療のなかでの癌局所療法、緩和治療のなかでの局所療法も癌治療のなかで大切な位置を占めています。そのような癌局所療法全般における、手技、工夫、効果、成績などを癌治療全体から検討し、その成果を共有、明日への治療につなげていくことが本研究会の大きな役割でもあると考えております。
 偉大な先人たちに築かれ、ご努力により発展してきた本研究会がますます発展するためには、会員の皆様のご支援・ご鞭撻が必要不可欠であります。何卒、よろしくお願い申し上げます。 

日本癌局所療法研究会 会長 大塚将之